takeshiの街道を歩く
ぶらり歩き | |||
31. 伊豆半島を歩く (14) | 平成24年6月16日 | ||
沢田を過ぎて大浜に入り、国道136号線を離れて大浜海岸への道をとってSさんとの待ち合わせ場所のなぎさの湯に向かう。迷うことなく、なぎさの湯に着くと、すでにSさんは入浴中で無事に合流する。雨に打たれた衣服を脱ぎ捨て、昼間の湯の暖かさは堪らなく心地よい。海岸に面して露天風呂も用意されているが、裸とはいえ雨の中の湯は今ひとつ興が乗らないものである。 Sさんは路線バスで松崎まで移動するため、今度は長八記念館のある浄感寺で待ち合せとする。濡れた衣服を着替えて心機一転、松崎に向けて雨の中を再び歩く。 仁科川を渡ると、すぐに松崎に入り、商店が建ち並ぶ市内となる。予定通り、浄感寺でSさんと合流し、Kさんと小生は気兼ねしながら水浸しの靴を脱いで、浄感寺の長八記念館(写真50)に上がる。ガイドさんの案内で漆喰職人長八が本堂天井に描いた八方にらみの龍を鑑賞する。天井を見上げながら、部屋のひと隅から他の隅に移動すると、その都度に龍の表情や動きが変化し、龍の目は移動する方に追いかけてくる。長八の筆致の凄さに感心する。 浄感寺は入江長八(1815年〜 1889年)が幼少の頃に学んだ塾であり、墓所(写真51)もある菩提寺である。長八は手先が器用で、なまこ壁、鏝(こて)絵といった漆喰細工を得意とした芸術家である。 浄感寺から再び雨の道に出て、明治43年(1910年)に建築された呉服商・伊豆文邸(写真52)を訪れる。建物の壁は当然なまこ壁で仕上げられ、築年からして長八の手によるものではないが、重厚な瓦葺き屋根とのバランスのとれた力強さが感じられる。建物内は無料で公開されており、1階の土間を入ると、観光客とおぼしき母子が帳場に上がり込んで明治の時代を楽しんでいる。建物裏には、なまこ壁造りの土蔵(写真53)も残されている。 |
写真50 浄感寺・長八記念館 |
||
写真51 浄感寺・長八墓所 |
|||
写真52 伊豆文邸 |
|||
写真53 伊豆文邸・蔵 |
(C)2024 HIRAI. All Rights Reserved.